●私●


何処をどう歩いて来たのか記憶がない。


気が付けば、私は部屋に帰っていた。


目の前に見えるのは……これは何?


靴が何足か……そこにあった。
私の靴だ……ここは我が部屋の玄関。


部屋にたどり着いた私は、その場にしゃがみ込んだまま……ぼぉ~っとしてたんだ。


だって、ここは地元じゃないし、私の帰る場所はここしかなかった。


親も姉妹も友達も、皆、皆、遠いし……
それれ、極秘離婚状態のままだから、誰にも電話出来ない。


これって、どうゆう事ですか?


女を29年生きてきたけど、人生の意味が、意味がわかんなくなってきた。


私はゆっくりと立ち上がり、キッチンへと向かった。


カキンカキン……
冷凍室から氷を出し、グラスにバーボンを注いだ。


ロックでダボダボと……。


キッチンに座り込み、ゴクンゴクン、一気に飲み干してやった。


また2杯目、ダボダボと注いで……ゴクンゴクン。


もうボトルに少ししか残っていなかったので、ボトルごと、らっぱ飲みで全部飲みきった。