ただ一点、店のドアを見つめていても……
そのドアが開く事はなかった。
私はケータイを開く、黒田からの着信はない。
まだ、黒田は店にいる、何で帰らないの?
ママと何を話してるの?
ママと何してるのよ?
痺れを切らした私は、握っていたケータイで黒田和男に発信した。
「おかけになった番号は、電波の届かない場所におられるか、電源が……」
嘘? 電源切ってる!?
再度発信した。
「おかけになった番号は……」
全身の力がワナワナ抜けていく。
季節は冬だった。
冷たい風が吹き荒れて、私の心を凍らせる。
私は、少し離れた所でしゃがみ込んだ。
大きな体を小さく丸くして、うさぎの視線は一点を見つめてる、それはナイトゲームのドア。
と、表の看板のライトが消えた。
時は夜中の3時~
酔客も、もう誰も歩いていなかった。
猫とネズミが活動を始める時間だ。
あちこち看板ライトが消えていった。