その日は案外、暇な日だった。
2時半も過ぎて~
お客はぱらぱらと帰っていき、残るは黒田1人となった。
その時ママが……
「えり、久美子、もう上がってもええよ、
3時までの時間給つけとくから、もう帰り~」
えりさんは帰る支度を始めた。
???黒田がまだ座ってるのに???
???まだ帰るような気配もないんだけど???
私が戸惑っていたら、またママが……
「久美子、ほんまに気にせんでええから、後片付けはウチがしとくから、はよ帰りや」
「んじゃ、お先に失礼しま~す!」
って、えりさんは一早く店を出た。
私はゆっくりと帰る支度をしながら、黒田の方を窺った。
こっち見てよねぇ~今から何処かに行かない?
ホテルが無理なら、私の部屋に来てくれてもいいのよ。
ねぇ、こっち見てよ、と私は目力で訴える、
目線合わせてよ、
別々に店を出て、何処かで待ち合わせしようよ~ねぇ~
黒田は前を見たまま、私の方を見ようとはしなかった……ってか、帰る気配もないし……?
何で?