いつも同じ駅
いつもと同じ電車に乗り
いつもと同じ仕事に出かける。

ほぼ毎日繰り返してきた“いつもと同じ退屈な毎日”


なんとなく、今日は少し早く家をでた。特に理由はない、ただ用意が早くできただけ。

いつもより一本早い電車に乗ると、同じ車両に乗り合わせる人達も、もちろん知らない顔だ。

毎日、同じ時間に同じ電車、車両に乗り合わせる人達は、挨拶さえしないが“知った顔”になる。

しばらくすると、私が乗っている普通電車にあとからきた快速電車が
横に並んだ。

速度がいっしょなんだろうか、快速電車に乗っている人の顔もはっきり見える。

快速電車が先に進み出そうと速度をあげたとき、何両目かもわからないが、快速電車に乗った俊介と目があった。

俊介!?びっくりして思わず声が出そうになる。

俊介も同じようにびっくりした顔をしている。

少しずつ、私と俊介の距離は離れ、快速電車は私の乗る普通電車を追い越し見えなくなった。



一瞬の出来事だった。

…一瞬でも、俊介の姿が目に焼き付いてはなれなかった。


快速電車と普通電車。私と俊介みたい。