ロビーは想像してる以上に広かった。

高そうでオシャレなソファーや椅子が置かれていて。


俺が歩く靴音だけが響いていて、辺りをキョロキョロ見回していると。

『お帰りなさいませ、ほたる様。』


いつの間にか、ソイツは俺の後ろに居た。

ここの管理人的なアレか??


高そうなスーツに身を包んでいて、桃色の髪を短く上に束ねていた。

男のようだが、そうは思えない程に睫毛も長く綺麗な顔立ちをしていた。


寝ているほたるは当然反応しないし、俺だけが戸惑っていた。

『どうしたのですか??今日は22時14分8秒03と遅いお帰りですが。』


時計も出していないのに、随分と細かい数字まで言い出す。

「あ、すんません…コイツ今寝ちゃっててね、部屋番号教えて貰ったら有り難いンですけど…」


そう、言ったら。

最初から気持ち悪いくらい笑っていたソイツは、目を開けてそうですか、と言った。


『では16階のお好きな部屋をどうぞ。』

また、ニッコリと笑って俺はエレベーターまで案内された。


ボタンを押すとすぐに扉が開いて、中に入り俺はほたるを抱えているので16階を押してもらう。

そして、ドアの閉まる間際。

またソイツはニッコリと笑って。


『よい夜をお過ごし下さい』

ソイツがお辞儀したところで、扉が閉まった。