確か親父の家に二人でついたのは昼にもならないぐらいの時間。

なのにいつのまにかお日様の姿はどこに行ったのか。


月と星が太陽の変わりのように輝いていた。

親父と兄貴が酒と柿ピーを進めたせいでほたるはベロンベロンになっていた(よい子はマネしないでね!!)。


だから、今は俺がおんぶして家まで送っている。

ほたるは、本当に調度いい重さで。


ちゃんとほたるがここに居るって実感できた。


「じぇんや〜アリガトね〜」

と鼻歌まじりでお礼してくる。


俺はいいよ、と一言だけ言う。

当然、会話は終わって耳に届くのは音痴な鼻歌。


今日だけは酒が入ったせいか心地好くて、指摘しなかった。

「善哉だいすきぃー」


と、唐突に言って強く抱きしめる。

当たってるよ、当たってるよ!!!


胸が当たってるよ、胸が!!!!

俺を誘いたいの??苦しめたいの??


ほたるの吐息が首筋をくすぐる。

ぅほぉわぁぁぁぁ!!!!!!!


頑張れ!!!俺頑張れ!!!!頑張れ!!!!

理性よ、フルの力を使って俺を押さえてくれぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!


「ホント…善哉が好きすぎて…」

そこで、ほたるは言葉を紡ぐのをやめる。


俺が、何だって聞くと。

「殺しちゃいそう★」


ふぐわぁぁぁぁぁぁ!!!!!

ほ、星が黒いよ!?

てゆうかこの俺の首にある手は何!?


どっから出したのその丸ペン!!!!

丸ペンが月明かりに反射して余計に怖い!!


「な、何馬鹿言ってンだ、ほらついたぞ」

俺が言った通り目の前にはほたるが住んでる高層マンションのでかいロビーがロック付きの自動ドアに見えていた。


いつも思うけどここって本当にでかい。

何階に住んでんだろ??


いつもここで別れるから何階かなんて分からない。

よくここでずっとだべっている事もあったけど、ここに入って行く人は見たことないから他にどんな人が住んでンのかも分からない。


俺は、ほたるを背中から下ろしながら聞いた。

「ほたる、何階に住んでンだ??」


するとほたるは満面の笑みで。

「これ全部だぜー☆」


なんて言う。

酔っ払いはアテになんねぇなぁ。