それから、実は楽しみもあった。
もちろん、ほたると一緒に居て。
放課後、俺とほたるはあの今日に行く。
別に、女装にハマったとかそんなんじゃないけど。
俺をモデルにして絵を書くその時。
というよりも、ほたるが絵を書くその瞬間。
ほたるは絵を書くとき普段は絶対見せないいろんな顔をする。
普通の絵を書いている時は何よりも澄んだ藍色の瞳になる。
悲しい絵を書いている時はほたるも一緒になって眉毛が垂れ下がっている。
笑っている絵を書いている時はほたるの唇がほんのり上がる。
怒っている絵を書いている時はほたるの眉毛と目が釣り上がっている。
眠っている絵を書いている時はほたるの長い睫がほんのり瞳を覆っている。
そして、何より俺が好きなのは。
絵が完成した時、とびっきり嬉しそうな顔をする。
子供の様に無邪気に喜んで、大人の様に絵を優しく抱きしめて。
…まるで俺がほたるの事好きみたいじゃねぇか!!!!
ただ、なんでだろう。
たまにほたるが黙り込んで窓の外を見上げる時。
桃色と重なってしまう。