「なァ、善哉〜お願いがあんだけど」
普段は滅多に出さない甘い声を出すときは絶対コスプレの話。
まだ登校中。
朝から俺の左腕に抱き着いてお願いしてくる。
ハタから見ればアツアツのカップルだが俺達はそんなロマンチックな関係じゃない。
どうせ、俺には断るという選択が無い。
「じゃあ〜究極の選択だぜ☆」
朝からはしゃぐほたるについて行けず、生返事だけ返す。
「ここに着たら幸せになれるメイド服があるんだけどよ、」
ま〜たどっから出してきたか分からないヒラヒラのメイド服の出現。
毎日少しづつ変わっていくからこれまた不思議なのだ。
「善哉ならどうする??」
俺はワザと考えるフリをする。
コスプレを迫られるのは登校時と放課後。
だから今この時間は少しでも着る数を少なくできるチャンスなのだ。
「ん〜俺なら燃や「A、着る。B、幸せになる」
と、燃やす、と言う前にほたるの言葉で遮られる。
「なんやかんやでメイド服着てんだろーが」
そんなツッコミも、ほたるには軽く受け流されてしまう。