そして言葉を重ねた。


「春に旅行に行きたいんだけど、都合付く?」


「うん。春休み取れると思うよ。……どこに行きたいの?」


「気晴らしに地球の南にある島にでも、って思って」


「そんなところに行くの?」


「ええ。……大丈夫でしょ?」


「ああ、まあな。……でも常夏の島とかって、暑いだろ?」


「そうね。だけど、日本から出るのもいいんじゃない?」


「まあな。海外ってあんま行ったことないし」


 彼が本音を漏らす。


 あたしの思っているのは常夏の島だった。


 寒い冬が終わってから、気分を変えるために行くのである。


 ゆっくりと、だ。