「いろいろあったけど、慢性的な腱鞘炎が一番大きいわね。キーの叩き過ぎで」


「疲れてるんだろ?」


「ええ。特に右手の方が痛いし」


「確かに右の方が痛むだろうな。使うキーが右側に集中してるしね」


「雄哉は腱鞘炎ないの?」


「うーん、どうだろ?……あることはあるよ。俺も仕事でパソコン使うし」


「でも、あたしみたいに企画書なんかを大量に打つ人間とは違うでしょ?」


「ああ、まあな。……君は仕事のし過ぎだよ」


「確かにそうかもね。でも腱鞘炎って、ある程度は自然治癒するから」


「そうだよ。休められる時は休めな」


 雄哉がそう言って、あたしの話を聞き続ける。


 彼も体にガタが着始めているようだ。


 お互い気持ちは若いのだけれど、年齢相応になっていた。