「ゆっくりしましょ。お互いいろいろあったから、忘れる意味で」


「ああ」


 雄哉がそう言って、頷く。


 その日も明けて、大晦日になると、慌しさが増す。


 料理しながら、合間にスマホでネットを見て、情報を仕入れる。


 正月料理を作り終えてしまってから、大晦日の夜、テレビを見た。


 揃ってリビングで、である。


 ゆっくりしていた。


 溜まっていた疲労が、ある程度取れたのは事実なのだし……。


 ちょうど一年が終わる頃、近くの寺から除夜の鐘を突く音が聞こえてくる。


 そして元日を迎えた。


 新たな年の始まりである。


 そう思って、朝寝坊してしまい、起き出したのが午前九時過ぎだった。