抱き合いながら、ベッドへと入った。


 そして口付けから入り、体の各所を愛撫し続ける。


 愛情は湧き出てくるものだ。


 そう思い、ゆっくりと抱き合い続けた。


 特別なことをするわけじゃないのだけれど、あたしも気を抜く。


 愛し合いながら、ふっと感じることもあった。


 実はつい先日、父が進行性の肝臓ガンで死んだのである。


 入院先の病院で、らしかった。


 家族や親族とは一切縁を切っていたので、通夜にも葬式にも行かなかったのだ。


 親が死んでも泣かないのだし、泣けないのは本来なら不幸だろう。


 だけど、もう絶縁していたのだから、いいと思っていた。


 今更、親戚縁者に頭を下げて回りたくはない。


 別によかった。