玉木たちはずっと残業してくれていた。

 
 彼らが疲れているのは、手に取るように分かる。


 いくら管理職でも、上には社長の姫沢や課長の瀬岡がいて、あたしたちはずっとそういった人間たちから見張られているのだ。


 気にするなと言う方が無理だった。


 玉木も風邪を引き掛けているらしく、頻りに咳をしたり、痰や鼻水などが出たりしている。


「玉木、早退して休んだら?」


 そう言っても、


「大丈夫です。これぐらい平気です」


 と返し、食後、持ってきていた市販の風邪薬を服用していた。


 どう考えても、風邪を引いた社員がいると、移ったりしてしまいよくない。


 普段は普通に仕事をしていた。


 確かに週末が恋しくなるのだけれど……。