「ありがとう」


　雄哉がそう言い、グラスに口を付ける。


　ブラックでやや濃い目に淹れてあげたので、苦いと思う。


　だけど、彼は苦いものに慣れてしまっているようだ。


　実際、砂糖やミルクなどは入れないで飲むのだし……。


「今週どうだった？」


「うーん、まあ、仕事ではクタクタになったけどね。毎日遅くまで社に居残って、翌日は通常通り出勤だったし」


「じゃあ、やっぱ倦怠気味？」


「うん。だけど、俺も人と会うの楽しみだし。対人関係苦手じゃないから」


「営業職で対人関係苦手だったら、話にならないからね」


「まあ、そうだな。多少気を張ってても、食事を取る時ぐらいゆっくりしてるよ」


「そう……」