そう思って、日々過ごしていた。


 あたしにとって、家族などないのである。


 とうの昔に崩壊してしまった。


 もう何らこっちには影響してこないのだ。


 腹を括っていた。


 家族も親族も何もないと。


 だけど、いつでも話せる雄哉がいてくれる。


 だから怖くなかった。


 その日も彼が午後二時半に来たので、出迎える。


 玄関で物音がしたので、無防備に扉を押し開けると、雄哉が立っていた。


「ああ、雄哉。いらっしゃい」


「来たよ。またゆっくりしような」


「ええ。掃除もしたし、今コーヒー淹れるから待ってて」