ゆっくり出来る時間は、なるだけ気持ちを落ち着けていた。


 もう夏も終わりである。


 海に遊びに行き、花火大会も終わってしまって、暑い季節の幕切れを感じ取っていた。


 週末、彼が来る時は、食事を用意して待っている。


 ずっとこの関係が続いていた。


 途切れることなく。


 理想的なのである。


 互いに満たし合い、満たされ合いながら。


 別に嫌なことなどを思い出しても放置している。


 アル中で入院中の父には見舞いにすら行ってない。


 あの男が事業に失敗したせいで、どれだけの借金が残り、母が散々暴行を振るわれた挙句、トイレで首を吊って自殺するに至ったのか……。


 あたしもあの男のことはもう考えたくなかった。