「何時頃までいられる?」


「うーん……一応午後十時にはここ出て、帰るよ。歩きだから、ビール飲んでもいいし」


「分かった。それまでゆっくりしてようね」


「ああ」


 彼が頷き、それから二人で夏の休暇の最後の日を過ごした。


 そして午後八時過ぎにベランダから、花火を見る。


 次々と打ち上げられた。


 夜空が彩られる。


 暗い空が一際明るく。


 同時に夏が逝くのを感じた。


 花火の打ち上がる合間に虫の音が聞こえる。


 小さな音で、だったけれど……。


 多少暑さは続いたとしても、このまま夏は終わっていく。