「これ見なきゃね」


 そう言うと、雄哉が、


「ここからでも十分見えるだろ?」


 と言って、ベランダを指さす。


「ええ、大丈夫よ。……っていうかさ、毎年この季節にここで花火見てない?」


「確かにな。俺も毎年君の部屋のベランダから、花火見てるね」


「一年に一度だからね。楽しもうっと」


 そう言ってパソコンを見ながら、読める分だけニュースを読んでしまった。


 そして一度トイレに立ち、用を足す。


 手を洗ってから、


「雄哉。くどいようだけど、今夜の八時過ぎからは絶対花火よ」


 と言った。


「ああ、分かってる。夜空に打ち上げ花火だから、最高だな」