「確かに今回の事件は大きいわよ。マスコミも派手に騒いだし。でもね、かと言ってうちがどうのこうのすることはないでしょ?」


「ええ、仰る通りです。何も株は法人のみがやるものじゃありません。個人投資家もいますから」


「そうよ。だから、多少何かあったとしても関係ないの。あたしなんか、そういったところは淡々としてるから」


「じゃあ、思い悩んでおられることは何ですか?」


「うーん……やっぱし簡単には分からないわね。原因も」


「でも、ある程度は整理できてるんでしょ?」


「ええ。パソコンのワードの画面に思ってることをいろいろ打ち込んでみたの。そしたらある程度は分かったわ」


「根本は何です?」


「そうね。やっぱこの社の命運だと思う。姫沢社長も瀬岡課長も、他の幹部の方たちも必死になってるわ。信頼を取り戻すには何をすればいいか、考えながらね」


「ひとまず事態をもうしばらく様子見するのはどうです?あまり先走って、手を打っても仕方ないですし」