午後二時過ぎ、玄関先で物音がして、彼がやってきたなと思ったので、扉越しに何も聞かずに、


「ああ、雄哉。いらっしゃい」


 と言って、扉を押し開ける。
 

「こんにちは、友里」


 彼もあまり深く意識することなく、普通に応じた。


「暑かったでしょ?」


「うん、まあね。……でも梅雨明けももうすぐだろうし、いずれ晴れると思うよ」


「だといいけどね」


 そう言ってキッチンへと入っていき、アイスコーヒーを一杯淹れるため、ぬるま湯を作る。


「お仕事どう?疲れてる?」


「まあ、確かにきついよな。でも、慣れてるから大丈夫だよ。営業も板に付けば、そうでもないし」