不安はあった。


 加賀美コンツェルンは一度信用を失ってしまったので、取り返しがつかない。


 成川たちの行う供述を気にしていた。


 一体何を喋るのかと。


 いろいろ考えているうちに、時間が過ぎ去っていく。


 パソコンを見ながらも、ずっと平常通り仕事を続けていた。


 確かに気にし過ぎなのかもしれない。


 一度検察庁や金融庁など、関係省庁の捜索が入ってしまった以上、もはやその法人や個人に信用はないのである。


 雲を掴むように曖昧な気持ちがあった。


 その日の夕刻、瀬岡が、


「尾田君、今日は残業してくれ」
 

 と言ってきたので、