だけど、成川との契約書は持っている。


「じゃあ、ひとまず全部をお任せいたしますので」


 ――ええ。そうお考えいただけると助かります。


 曖昧な結末だったが、これが株式会社同士の株の持ち合いの実態だ。


「またお世話になります。失礼いたします」


 ――こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。では。


 成川が電話を切った。


 すっきりしないのだが、仕方ない。


 不愉快な状態のまま、仕事を続けた。


 キーを叩きながら、今このことを考えたとしても、何も変わらないと思う。


 目の前のことにしっかりと取り組む。


 誰もが感じるのだ。


 こういった状況下では。