「何か先方が不正行為なんかをしてくれば、金融庁の人間が入ってくるわよ。役人が見過ごさないし。特に株の不正操縦なんかは、許されないからね」


「まあ、そうだな。いざとなれば、国の関係部署が動くわけだからね」


 雄哉が軽く息をつく。


 あたしも応じて、頷いてみせた。


 別にこの株の問題は直接あたしに降りかかってこない。


 だけど心配事としては残った。


 やはり裏で何かがある。


 そう思っていた。


 元々、加賀美コンツェルン自体が大所帯だ。


 他社を強引な感じで吸収・合併し、技術力などを金で買い取っているのは知っていた。


 油断出来ない。


 そう感じているのだった。