血の通った人間だからである。


 姫沢も瀬岡も、他の上の人間たちも、あたしに対してきついことは特に言わない。


 ただ「しっかりやってくれよ」と釘を刺すだけで。


 あたしもある意味、開き直っているようなところがあった。


 部下でも悪口を言う類の人間に対して。


 それを雄哉に話すと、


「友里、賢明だよ。意見が合わない人間とは話をしない方がいい。シカトでいいんだよ」


 と言ってきた。


 彼もそう思っているらしい。


 普段からあたしよりも行動範囲が広いので、自然とそう感じるのだろう。


 雄哉とは五年前知り合っているのだが、あたしも彼から助けられて、今に至っているのだった。


 別に他意はない。