あたしもその日の食事の席での事を、伝えられるだけちゃんと伝えた。


 それから一週間ずっと社に詰めながら、雄哉との週末を待つ。


 確かにこの街も先日梅雨入りして、ジメジメしていた。


 一定の緊張感はあったのだが、やはり単調さが先行して疲れる。


 だけど、別に大丈夫だった。


 加賀美コンツェルンとは、水面下で話が進んでいるようだ。


 あちらもいろいろとあるらしい。


 うちの社の株を買い取るのに、ありとあらゆる手立てを実行しているようだった。


 成川がメールで送ってきたワープロ打ちの契約書は、読み返してみても違法性はない。


 でも、あの場でたった小一時間話しただけでまとまった商談など、効力はあるのか……?


 疑問が残った。


 だけど、契約済みだから後戻りは出来ない。


 これからうちと加賀美コンツェルンは提携していくのだ。