あたしも信頼できるかどうかは分からなかったのだが、これ以上この席で何を言っても仕方ないと思い、グラスから手を放してワインを注いでもらう。


 そして口を付けた。


 さすがに強い酒だから、酔っぱらってしまう。


 飲んだ前後の事は、ほとんど覚えてなかった。


 瀬岡が予約していたコース物の料理が次々に運ばれてくる。


 成川が、


「ご当地の料理もなかなか美味しいですね」


 と言ってきた。


 そして会食しながら、東京での話などをしてくる。


 成川は一見ずるそうに見えるのだが、腹を割って話せば、悪い人間であるとは思えなかった。


 食事が一通り済み、食後のデザートとアイスコーヒーが運んでこられる。


 夏らしくシャーベットだった。