あたしも身構えた。


「弊社の一体何に魅力があるのでしょう?」


「簡単に申し上げますと、御社の素晴らしいビジネスネットワークにうちの上の人間たちが惹かれてましてね。それで興味を示したということです」


「筆頭株主に躍り出れば、うちの社を子会社化するんですか?」


「子会社化などとんでもない。単にビジネス上のパートナーとして、これから歩みを共にし始めるということですよ」


「では、会社の乗っ取りなどではないのですね?」


「尾田さん、失礼ですが、私が乗っ取りなどという仰々しい言葉をいつ発しました?」


「いえ……」


「ちゃんとした正規の取引です。弊社も御社と一緒で上場してます。市場の倫理に反することなどは一切いたしません」


 あたしも成川が顔に浮かべる不敵な表情を見て、何かあると思った。


 いかにも人を騙しそうなタイプの人間だと。