加賀美コンツェルンの社長である加賀美純三は、一代で社を興して、あの規模に持っていったと以前聞いたことがある。


 それに加賀美の下には東都大や京帝大(きょうていだい)など一流の国立大学を出た秀才が集まり、実質学閥は国立大で占められているのだった。


 優秀な人間たちが集っているのだ。


 そこの株式担当の成川も、確か阪王大(はんおうだい)理学部出身で、理系出身者にも拘らず、株の事を一任されているらしい。


 果たしてあたしで大丈夫なのだろうか……?


 そんなコンピューターみたいな頭脳の人間と、対等に渡り合えるのか心配である。


 だけど、やる価値はありそうだ。


 週明けに成川と会ったらどんな話が出るだろうか……?


 気になった。


 おそらく成川も豊富なビジネスの知識を生かして、こっちに来るだろう。


 でも、なぜ一地方都市であるここに首都圏からわざわざやってくるのだろうか……?