活力が欲しいんだ。だからあえて業務提携を受け入れた」


「そんなに加賀美コンツェルンに魅力があるんですか?」


「君はビジネス誌を読まないのか?加賀美社長は相当なバックボーンをお持ちだぞ。あの方の下には人やモノが絶えず集まるから、金も当然集まってくる。君が知らないところでもビジネスは進行してるんだよ」


 じゃあ、ちゃんと伝えなさいよと言いたくもなったが、黙って聞いていた。


「加賀美コンツェルンがすでにうちの社の一部の株を買っている。更に買い増せば、筆頭株主に躍り出る可能性が極めて高い」


「一体私に何をしろと?」


「簡単だ。一部署の主任に過ぎない君には申し訳ないが、週明けに加賀美コンツェルンの株式担当の成川(なるかわ)さんに会ってくれ。場所はそうだな……<楓音(かのん)>って街のレストランがあるだろ?あそこにお通しすればいい」


「分かりました。すぐにアポ取りますので」


「もう私が連絡してある。うちの女性社員の尾田が行くとね」


 用意がよかった。