イヤホンを外した事ではっきりと
耳に届く声は低く甘かった。

「3組の37番て俺がおしえてんから
 迷ったらあかんで?」

関西弁で言われた言葉を
自分に分かるように訳していると
その人は私の知らない間に
校舎に入っていった。

お礼…忘れちゃった。
また、会えるといいな。

と考えてる私に再び届く低く甘い声。

「あ!!チビちゃん!!お礼期待してんで!」

と聞こえたのは気のせいだよね。
……殴ってほしいのかな。

「あ!!もうすぐ本鈴なるよ!!」
「嘘?!急ご!」

と周りが騒ぐので気づいたけど…
ヤバい!!!
あの人のせいだ!!

と恨みながら私は教室まで全速力で
走った。