入学式は人生で最悪な日になった。

そうお母さんも居なくなった。

身内も居ない。

1人だ。

そう考えてながら、

重い足を一生懸命動かして誰も居ない家に

帰る。

ため息しか出てこない僕は

幼いながら、あるコトを考えた。

無機質なアナウンサーは

いつもと変わらず、ニュースを伝え

サラリーマンは残業に追われてる

こんな街に1人だ。

決心をして、全てにお別れを。

目の前に広がる風景…

それに突っ込む。

身体が何だか軽かった。

「…っだめぇぇ!!」

死ぬ間際でも目はちゃんと機能してるんだ。

声が上がった方を向く。

あの人だ。

傘の人。

その人は、僕を抱くようにして

自分を突っ込んでくる大型車に向けた。

バキッ…

鈍い音が世界中に響いたような気がした。