「え?わ、私ですか!?私がなんで??」

びっくりした顔の私を、先輩の優しい笑顔がふわりと包んだ

「女って、結構理想を妄想するじゃん。『こんな素敵な人とこんなシチュエーションでこんなキス〜』みたいな…」

私は納得して頷く

「俺らってもうちょい現実的なワケよ。例えば、『絶対落ちない清楚可憐な結城妃芽』とかね。身近な人で想像するって結構あんのよ。相手が禁欲的な対象なら、尚更征服欲がでかくなる」

「…私が?…征服欲?」

「そう、男って大きく考えるに、二つの欲があると俺は思うのね?人妻とか魅力的な人に誘惑されたい受け身の欲と、相手を自分仕様につくったり変えたりする攻めの欲。それが相手を征服したい征服欲。」

ウンウンと頷く…

「俺は征服欲の方が強いから、ヒメみたいに、男が滅多に近づけないようなタイプこそ燃えちゃうワケ。だから、我慢してねってこと。今俺はヒメにハマっちゃってるから、諦めて。逃げれないから…」

ああ、そうか。先輩は結局これが言いたかったのね!自分をさらけ出して逃げようとする私と、逃がせない先輩…

先輩の唇が私の下唇をきつく吸い始めて、私はゆっくり自分の唇を開いた。