「ホモだったりして!」

ぶっと私は吹き出した。つられて凜も笑って、私達はいつも通りご飯を食べ始めた。





「あー」

私はまたドジっていた。午後の授業前に、先生に頼まれたプリントを廊下で飛ばしてしまった。

私は先に窓を閉めて一枚ずつ拾っていたら、親切な先輩達が手伝ってくれた。

「ミス可憐ちゃん、大丈夫?」

「ヒメちゃん、はいこれ!」

男の先輩も女の先輩もみんな優しい…

そう、私は文化祭で2年連続『ミス可憐』をいただいた。中等部の生徒会副会長だったし、乙女として通っている。これが造りあげた私の表の顔。

「お忙しいのに手伝っていただいてありがとうございます。お蔭様で早く集まりました」

上品なふりをしてニッコリ笑う。親しみやすさを忘れずに!

「いいなー、私もヒメちゃんみたいに生まれたかった!」

「可憐ちゃんは日本の絶滅危惧種だもんな!」

「貴重な存在だ!ホント。名前通りだよねぇ、ヒメだよ?妃芽!」

…そう、全てはこの台詞を言われるため!

ヒメなんて名前のせいでどんなに苦労して来た事か。お姫様じゃないとか、妃の器じゃないとか!


「どうしたんですか?」