「おい、そこでなにをしてるんや」



あまりに予想していなかったため、体をこわばらせるが、ここで大きな動きをとれば、縁側や物陰に隠れているものに、見つかってしまう。


斬られる覚悟でどぎまぎする心臓を抑えつつ、ゆっくりと振り向いた。



「なんや三冷やなか。なにしとるん?こんなとこで。」


「山崎か」



なにしとるん?なんて聞いてるものの、鋭い目は真っ直ぐと私に向けられ、もしものことがあれば攻撃できる体制をとっている。


山崎だって、幹部だ。



こんな時間にここにいるということは、……そういうことだ。




まさか山崎につかまるとは思っても見なかったが、どうすればいいか…


正直、今やりあったら山崎には勝てないような気もしないではない。


それは勿論刀を持ってきていないからでもあるが、もし持っていたとしてもそれは然りだ。



戦法が違う。

剣術なら私が確実に勝てるであろうが、向こうはきっと手裏剣やらくないやらを使うだろう。
知らないけど。


私は、そんなものと戦い慣れていない。
どうすれば当たらないとか、くないを弾く方法やらも全くもって知らないのだ。


その点山崎は、刀とやりあうのが当たり前。
いつもと同じように自分の得意分野で戦おうとするだろう。




圧倒的不利。


下手したら殺される。

いや、そもそも私は刀を持っていないんだ。



ある程度の体術を心得てるとは言え、丸腰でどう戦えようか?



そうだな…
100%…いや、120%負ける。