心が暗闇に支配されていくのをこの時あたしは実感していた。


じわじわと迫ってくる闇…飲まれそうになりながら必死にもがくが、底無し沼のように逆に足を取られていく…


息をすることさえも苦しい…目も鼻も痛いくらいに熱い。


やっとの思いで家に着くといつも立ち寄るキッチンには行かず、そのまま自分の部屋に向かった。


「優梨?帰ったの?」


そうお母さんに聞かれた気がしたが、答えることができる程の余裕はすでに残されてはいなかった。