「あら、速いのね?まだ時間までは……、今丁度よ」

明日香は談笑を止め、天羽に近付く。

「沢山の方達が被害にお遭いですね」

体育館の中心に円になって談笑している方達を見る。

「ホント、この学校は多いわね」

「申し訳がないです。だからこそ、今回は成功させなと!!です!!!」

中心へ向かうと皆、天羽を見やる。

「おっ!これまた別嬪さんや!!明日香さん、おおきにやで!!」

一番奥に座っている男性は天羽を見て顔を輝かせた。

「でしょう?こういうのも何ですが、自己紹介致しません?」

円になって座り、さっきの男性を見やる。

「初めてお目にかかりますわ!朝香河信(あかさごまこと)言います!よろしゅうな、ねぇちゃん!!」

優しそうな微笑みとしわが、より一層人の良さを連想させる。

「私は、その……ま、松原紅美(まつばらくみ)と言います。宜しくお願いします?」

正座を少しも崩さずに控えめがちな笑顔が幼さを醸し出している。

「……泉大晴(しみずたいせい)、です。僕自身無いんですけど……、ハァ」

基本姿勢が猫背で、いかにもネガティブな思考の持ち主のような態度をとる彼は、皆とかなりの距離があている。

「私はいらないでしょ?」

「うん。大丈夫。私の名前は明日香さんから聞いていると思いますが、一応、五木天羽です。この学校の新一年生です」

天羽が自己紹介をし終わった後、明日香に視線を送る。

「集まった訳はこの前話した通りよ。作戦も伝えた通り。実行も変わらず明日行うわ」