そっと着流しに着替え、簡単に手で髪を整えてから、部屋の襖に手をかける。


けれど、背後からした人の気配に振り返った。


なぜか、懐かしい感じがしたけれど―――


そこには、私の影で暗くなった普通の部屋があるだけだった。



「おい、そろそろ行けるか?」


「・・・・・?あぁ」



外から掛かる声に、ハッと正気に返る。


スッと襖を開け、外に足を踏み出した。


久しぶりに見た外の景色は、もう寒々しく枯れ葉になっている木々が目立っていた。


僅かに残る紅葉も、もう綺麗とは言えない。