そこで、一つ息を吐き、苦しげに言葉を紡ぐ。


その間に、俺は物音のしない廊下へと視線を向ける。


誰も戻ってこない事を確認し、俺は泉箕を見つめ直した。



「初めはって・・・・・今は、そうじゃないって事かよ」



尋ねた言葉が、掠れ、小さくなっている。


まさか、と自分の中で小さな予測が、嫌な方向へと向いていった。



『あぁ。もう――――時が経ち過ぎた。

土地に神が消え、そして人々は神の存在を忘れてしまった。

だから・・・・・俺はもう』



“存在する事が、出来ない”