「癸乃・・・みんな癸乃のこと必要としてるんだよ」
「私のこと?」
「うん!」
「必要・・・」

私を・・・

「あなたたち!私じゃ不満だって言いたいの?」

高山さん・・・

「そ、そうじゃないですけど・・・」
「だったらそこで黙って見ていなさい。何もできないくせに口だけは達者なんだから・・・」
「ちょっと待ってください!!」
「「キノ子?」」
「あら、橘樹さん・・・顔の傷は大丈夫なのかしら?」
「はい。あの、謝ってください!」
「は?」
「クラスのみんなに謝ってください」
「どうして私が?」
「何もできなくないです!みなさんのおかげでこの撮影が出来てるんです!」
「フッ・・・当たり前のことじゃない・・・何もできないから道具を作ったりしてるんでしょ?」
「違います!!みなさんは私たちが演技しやすいようにいろんなことをしています。私たちが撮影待ちをしている時にさりげなくスポーツドリンクを用意してくれたり、内輪で仰いでくれたり、外の撮影の時は日傘までさしてくれたり。それだけじゃありません!!ここのセットだってクラスのみんなが作ってくれました!!そんな人たちに"何もできない"なんて・・・謝ってください!!」

なぜかわからない
涙が出てきて
クラス中シーンと静まり返った・・・