何とも言い難い静寂な中、やがて何処かの踏切の警報音が聞こえて来た。
僕たちの真下で冷たく光る線路が、近づく列車の響きを伝え……
と、ものすごい摩擦音を轟かせ、想像以上のスピードで、一本の列車が僕たちの足元を通過して行った。
そして直後、その列車に引っぱられ、尚も着いて行こうとする強い風が僕たちに襲いかかり――…
「!」
風が止み静けさが戻ると、どうしたものか、ヘナヘナと力無く、彼女はその場に座り込んでしまったのだった。
この予期せぬ出来事に、僕は慌てふためいた。
「あわわ!驚かせてしまったかな?
ごめんなさい!大丈夫ですか?」
慌てて一生懸命に謝ったのだけれど、見れば彼女の瞳からは涙が溢れ出していて、どうにも止まらないようで。