突然声を掛けられた彼女は、とても驚いた顔で僕を見返した。 「あの、こんな暗いところに女性が一人でいると、危ないですよ? 近頃ではこの辺りも物騒になりまして…… 変質者とか、ね?」 なるべく穏やかに、僕が声を掛けた理由を彼女に伝えたのだけれど 彼女にしてみれば“かなり怪しい存在”である僕を、焦点の定まらない眼差しで見つめ茫然としているのだった。