会社の最寄り駅から、各駅停車の電車で15分。
そこから5分程歩き、何本もの線路をまたぐコンクリート製の厳つい高架を渡ると、すぐに僕のアパートはあった。
割合近くて通勤には便利な場所なのだけど、ただ難を言えば、街灯が極端に少ない為に、夜になるとこの辺り一体が真っ暗になってしまうのだった。
そんな事もあって、電車に乗る時間を増やす事にはなるけれど、近い内に、もう少し安全そうな街に引っ越す予定を立てている。
しかし今夜に限っては、この妖しげな光を放つ満月のお陰で、思いのほか視界が良好だった。
高架を上るコンクリートの階段も、ピカピカと光っていた。