癒麻は呼ばれた方に振り向いた。
「亜衣ちゃん。」
そこには安心したように笑う亜衣がいた。
「良かった…。癒麻ちゃん、無事だったのね…。」
「亜衣ちゃんが、助けてくれたんでしょ?
ありがとう亜衣ちゃん。」
癒麻は、いつもと同じ笑顔を亜衣に向けた。
「そんな…、私なにもしてないもの…。」
「ううん、樹に知らせてくれただけでずいぶん助かったわ。
じゃないと樹も知らないまま僕、皐さんに連れて行かれてたもの…!?」
(そういえば皐さん…!!)
癒麻は皐のいたところを向いた。
その場に皐はいなかった…。
(帰った…?)
「癒麻ちゃん?」
急に黙った癒麻に気づいて、亜衣は声をかける。
「ううん、なんでもない…。」
(いつの間にいなくなったの…?)