「あ…危なかったわね…。」
窓の外に出て、癒麻は小さく溜め息をついた。
「癒麻…、まだ油断するなよ。逃げきらないと意味がない…。」
真っ直ぐ前を見え透いたままの樹の顔を見て、癒麻は頷く。
「ええ…、解ってるわ。」
癒麻が前を向くと同時に、二人は目の前のビルに飛び移った。

「二人とも聞こえる?」
目の前のビルに飛び移り、走り出した二人を見て悟が声をかけてきた。
「聞こえてるわ。」
癒麻の返事を聞き、悟は指示を出す。
「二人とも、その先に高いビルが見えるよね?」
「この街で一番高いビルね?見えてるわ。」