樹は歯痒そうに歯軋りを立てる。
「……。」
癒麻も中の様子を確認する。
「樹、もう時間だわ…。」
「ああ、解ってる。」
樹はそれだけ言うと、音を立てないように窓を少し開けた。
スプレーを窓に当てて固定し、噴射する。
警備達はまもなく次々に倒れていく。
「な…んだ…?急に眠く…。」
「WING…か…?」
石の前で五十嵐刑事も倒れる。
「よし、寝たな?行くぞ癒麻!!」
樹と癒麻は窓を開け、中に入る。
二人は石に近づき、石の周りを確認する。
「警報ブザーは切ってあるな?」
「切っておくって悟くん言ってたわ。」
二人は五十嵐刑事に聞こえないように、小声で小型マイクのみで会話をしていた。