「前はちゃんと見えるんだろうな?
前が見えないことには時間を取られるだろ。」
樹の問いに、悟は樹を見て首を縦に振る。
「大丈夫だよ。ちゃんと見えるようにマスクに特殊加工しとくから。」
「…お前、そんなことも出来るのかよ。」
樹は呆れたように悟を見る。
「一応父親が刑事だからね。簡単に調べることも、手回しも出来るよ。」
悟の言葉に樹は警戒の目で悟を見る。
「…それ、信用出来るんだろうな?」
「俺を信じて。五十嵐刑事の耳に入らないように手回しをするから。」
樹は勢いよく立ち上がって悟を見下す。
「信じられるかよ!!刑事の息子なんて!!
何度刑事は癒麻を裏切ったことか…っ。」
樹は悟を睨む。
悟は真剣な目で樹の目を見る。
「俺は刑事の息子だけど、俺は俺だよ。
決して、君や癒麻ちゃんを裏切らない。
俺を信じて。」