「見てれば解る。
最近のお前は携帯を見て、嬉しそうに笑っていたからな。
時々にやけてる…。」
「嘘…っ!?」
悟は思わず顔を赤くして手で触る。
「それは嘘だけどな…。」
「父さん…。」
悟は赤くしたままの顔で五十嵐刑事を睨む。
「悪い悪い。ただの冗談だ。」
「言って良い冗談と、悪い冗談があるよ…。」
悟は面白くなさそうにソッポを向く。
「悪かったって。…で?その子がどうしたんだ?」
五十嵐刑事に促されて、悟は伏し目がちに先を続ける。
「その子には…、家から決められた婚約者がいるんだ…。」
悟の言葉に、五十嵐刑事の顔が固張る。