…人のコトを心配しないし、無愛想に定評がある俺だけど。
さすがにそれは心配するぞ。

だって、人間には寿命があるじゃんか。
俺達みたいに、半永久的な生涯があるわけじゃない。


そこまでして、叶えて欲しいコイツの願いは何だ?



「…何だよ、下野の願いって」




人間が、そこまで大それた願いを抱くと思えないんだ。
人間の人生は吸血鬼と違って有限だし、技術も発達したからある程度は何でも出来る。


逆に、物事を簡単に考えすぎて、「血をどれだけ取られても構わない」とか簡単に言っている可能性はある。

でも、俺の知る限りでは下野はそんなに馬鹿ではない筈だし。
交通事故で死ぬ恐怖を経験しているからこそ、寿命がある人間はそんな簡単な事は言えないだろう。



……そこまで思い詰めてまで、下野の望む願いは、何だ?



「俺の彼女を、助けて欲しい」

「……は?」


想定外の言葉に、俺は開いた口が塞がらなかった。





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