「当たり前でしょ。運動神経が良い筈の流血ちゃんがこんなに危なっかしいのに、一人で帰らせる訳にはいかないじゃない」


悪いけど、あたしは美術部の部長として、面倒見が良いんで知られてるんだから。
鬱陶しい事を恨みたいなら、そこを恨んでよね。

流血ちゃんは少し目を閉じて考えてから、申し訳無さそうに頭を下げた。


「…宜しくお願いします」

「大丈夫だよ、気にしないで。どうせ、潰れちゃったタマネギを買うついでだから。外はまだ暑いだろうから、もう少し涼んでから行こう」


流血ちゃんの熱中症と水の飲みっぷりから考えてそう言うと、流血ちゃんは首を傾げてから、とんでもない事を言った。


「……ウチ、熱中症じゃないですよ」

「はぁ!?」


いやいや、あれはどう見ても熱中症の症状でしょ。
それで目眩がしたり、意識が遠くなったりして、誤って車道に出ちゃったんじゃないの?
吸血鬼って、日光に弱い分、人間よりも熱中症になりやすそうな気するし。





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