準備中にも関わらず動じなかった母さんが、ようやく話に入ってきた。
たぶん、最初から気になってたんだろうな。
「高校の後輩。一年生なんだけど、喧嘩が最強で、凄く格好良いんだよ」
「…三河先輩には、お世話になってます」
流血ちゃんの挨拶に、母さんが微笑んだ。
…こんな微笑み、少なくとも娘のあたしは今まで見た事無いぞ。
「いえいえ~。こちらこそ、いつも優希がお世話になってますぅ。…ところで優希、食材の買い出しは?」
語尾を変に伸ばすな。もはや、若干気持ち悪い。
そう言いたいのを我慢して、さっき置いた荷物を指さす。
「買ってきたよ。ただ、タマネギが事故で一つ潰れちゃったから、後で流血ちゃんを送るついでに買ってくるよ」
「分かった」
母さんが納得してるのをよそに、流血ちゃんはパチパチと瞬きを繰り返していた。
「…送って、もらえるんですか?」
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